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ジルコニアとセラミックの違いとは?それぞれの特徴と選び方

2025年06月20日

「白くてきれいな歯にしたい」「虫歯治療の銀歯を目立たなくしたい」と考えたとき、多くの方が検討するのがセラミックやジルコニアといった白い人工歯の素材です。
歯科医院のメニューや広告でよく見かけるこれらの名前ですが、違いがわからず、「どちらを選べばいいの?」と迷ってしまう方も少なくありません。
本記事では、ジルコニアとセラミックの違いをわかりやすく解説し、それぞれの特徴やメリット・デメリット、選ぶ際のポイントをご紹介します。
治療を検討している方や、美しい口元を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

ジルコニアとは?

ジルコニアは、正式には「酸化ジルコニウム」と呼ばれる素材で、非常に高い強度を持つセラミック系の素材です。歯科治療では「ジルコニアクラウン」や「ジルコニアインレー」などとして使用されることが多く、近年、審美歯科やインプラントの分野で注目されています。

ジルコニアの主な特徴

非常に硬くて丈夫:金属にも匹敵する強度があり、奥歯のように強い力がかかる部位にも適しています。

経年劣化しにくい:長期間使用しても変色しにくく、耐久性に優れています。

金属アレルギーの心配がない:金属を一切使っていないため、アレルギーがある方でも安心です。

色味はやや単調:透明感や自然な色調の再現はオールセラミックに比べやや劣りますが、最近では審美性も向上しています。

ジルコニアは、「白くて丈夫な歯にしたい」「噛む力が強い奥歯に使いたい」といった場合に非常に適した素材です。

セラミックとは?

歯科で使われるセラミックとは、ガラス系の陶材を用いた白く美しい素材です。「オールセラミック」や「メタルボンドセラミック」といった種類があり、見た目の美しさを重視した治療に多く使われます。

セラミックの主な特徴

天然の歯に近い透明感:光の透過性が高く、自然な見た目に仕上がります。特に前歯など目立つ部分に最適です。

プラークが付きにくい:表面が滑らかで、虫歯や歯周病の原因となる汚れが付きにくいとされています。

変色に強い:コーヒーやワインなどの着色成分にも強く、美しさを保ちやすい素材です。

強度はやや劣る:ジルコニアに比べて硬さは劣り、強い力が加わると破損する可能性があります。

セラミックは、見た目を重視したい方や、前歯の治療で自然な仕上がりを求める方に適しています。

ジルコニアとセラミックの違い

ジルコニアとセラミックはどちらも「白い歯を再現できる」素材ですが、それぞれに異なる特徴があります。

比較項目 ジルコニア セラミック
強度・耐久性 ◎ 非常に高い ○ 十分だが衝撃に弱い場合あり
審美性(見た目) ○ やや不自然に見えることも ◎ 透明感があり、自然で美しい
適した部位 奥歯、ブリッジなど噛む力の強い部位 前歯、目立つ場所
金属アレルギー対応 ◎ メタルフリー ◎ メタルフリー(オールセラミックの場合)
費用感 ○ やや高価だが長持ちでコスパ良好 ○ 費用は素材によって異なる

 
このように、ジルコニアは耐久性重視、セラミックは見た目重視の素材といえます。どちらが優れているかではなく、治療目的や部位、患者様のご希望によって使い分けることが大切です。

素材の構造と臨床的な違いについて(専門的視点)

ジルコニアとセラミックの違いをもう少し専門的に掘り下げてみましょう。

まず、セラミック(特にオールセラミッククラウン)は、ガラスを主成分とする陶材で、審美性に優れていますが、その一方で脆性材料(もろい性質)でもあります。噛み合わせが強い部位や歯ぎしりのある方の場合、破折リスクが高まることがあります。そのため、前歯など審美性を重視する場所に最適とされています。

一方のジルコニアは、セラミックの中でも結晶構造が異なり、結晶化された酸化ジルコニウムによって構成されています。特に「3Y-TZP(3mol% yttria-stabilized tetragonal zirconia polycrystal)」というタイプが多く使われており、部分的に結晶構造を変化させることで強度と靭性(しなやかさ)を両立させています。

また、近年では「ジルコニアセラミック」と呼ばれる、ジルコニアの内冠にセラミックを焼き付ける2層構造の素材も登場しており、強度と審美性のバランスを高めたハイブリッド型の補綴材料として注目されています。
ただし、これらはそれぞれに長所と短所があり、使用する部位・咬合(かみあわせ)・歯の状態を的確に判断したうえで選択する必要があります。そのため、精密な診断や設計が治療成功の鍵を握るといえるでしょう。

まとめ:違いを知って自分に合った素材を選びましょう

ジルコニアとセラミックには、それぞれに優れた特徴があります。
「どちらが良いか」は一概には言えず、ご自身のお口の状態、治療する部位、審美性や費用の希望などを踏まえて選ぶ必要があります。

・見た目を最優先したい方にはセラミック
・強度や耐久性を重視するならジルコニア

当院では、患者様のご要望を丁寧にお伺いし、最適な素材選びをサポートいたします。
どちらを選ぶか迷った際は、まずはお気軽にご相談ください。あなたにとって最適な治療をご提案させていただきます。