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顎関節症が原因で頭痛になる?
2018年12月15日
「桃井第四小前」で下車後、徒歩1分にある西荻窪の善福寺歯科クリニックです。
今回は「 顎関節症が原因で頭痛になる?」についてご説明します。
顎関節症は虫歯、歯周病に次ぐ第3の歯科疾患と言われています。歯科が原因となって頭痛などの他の病気にも繋がることもあります。
顎関節症は顎の痛みだけはない
顎関節症は「顎関節及び咀嚼筋の痛み」「関節雑音」「関節障害ないし顎運動異常」の少なくとも1つ以上症状があることが特徴です。この症状は顎の関節を形成する骨・筋肉・関節円板・靭帯などに問題が生じたときに、症状として現れます。
顎がずれるということは、身体全体のバランスにも影響を及ぼします。姿勢が崩れて首や肩の血行が悪くなることで、首こりや腰痛、肩こりに繋がることもあります。また、血流の流れが滞ることで、顎関節症や噛み合わせが原因で頭痛を伴うこともあります。
長年頭痛に悩まされていた方が顎関節症の治療を受け、症状を改善された方もいらっしゃいます。顎関節症は口の開閉や食事をとるときの痛みだけでなく、頭痛や肩こり以外にも、耳鳴りやめまい、舌痛、味覚異常などの症状が出ることもあります。
ただ顎関節症の治療を行っても症状が改善されない場合は、他の疾患を疑う必要があります。
顎関節症の症状のタイプ
顎関節症はそれぞれ5つのタイプに分類できます。
Ⅰ型…筋肉の異常
食事をとるときに動かす大きな筋肉が筋肉痛を起こしている状態です。「咬筋」は頬に手を当てて噛みこんだときに盛り上がる筋肉、「側頭筋」はこめかみ周辺に指を置いて噛みこんだときに盛り上がってくる部位にある筋肉です。
硬いものや咀嚼回数の必要な食事をとったときに、疲労で痛みを伴います。こめかみ部分に痛みを生じたときに、頭痛と訴える患者さまもいらっしゃいます。
Ⅱ型…関節靭帯の異常
関節靭帯が捻挫をした状態です。顎関節は耳の穴から1cm前あたりにあるため、中には耳の痛みとして感じる方もいらっしゃいます。
Ⅲ型…関節円板の異常
上顎と下顎の骨の間に挟まれた組織のことを関節円板と言います。この部分に異常が生じていると「ポキポキ」「ガリガリ」といった雑音を生じます。
雑音のみであれば特に治療は必要ありませんが、開口障害にまで発展した場合はより専門的な治療を要する場合もあります。
Ⅳ型…骨の異常
下顎の関節部分の変形により、痛みや開口障害を伴います。この場合、レントゲンやCTを撮影することで診断することが可能です。場合によっては外科処置で治療をする必要もあります。
Ⅴ型…どれにも当てはまらない
顎関節症タイプ別改善方法
上記のタイプ別にご自身で出来る症状の改善方法をご紹介します。Ⅳ型やⅤ型はご自身では症状を改善することができないため、しっかり歯科医院で治療することをお勧めします。
Ⅰ型…筋肉の異常
顎を休ませるために、咀嚼の簡単な食事や筋マッサージで改善できます。
筋マッサージは側頭筋や咬筋部分に指2〜3本揃えた状態で、優しく円を描いてマッサージします。
Ⅱ型…関節靭帯の異常
大きく口を開閉することを避ける、食事を小さめに分けて食べる等出来る限り顎を大きく開けないようにします。
Ⅲ型…関節円板の異常
運動療法で関節円板の位置を元に戻すことができます。
⒈こめかみ部分に指を3本揃えて置く
⒉下顎を左右にゆっくりと移動させる
⒊そのまま下顎を前方に突き出す
⒋出来る限り大きく口をゆっくり開ける
関節円板が正しい位置に戻るように、毎食後や暇な時間に運動療法を繰り返し行う必要があります。自己流だと元の位置に戻らなかったり、より症状が悪化する可能性もあるので、一度当院で指導を受けられることをお勧めします。
顎関節症のセルフ診断法
ご自身で簡単に顎関節症かどうかを判断する方法をご紹介します。
人差し指から薬指の3本を縦の状態にして口に入れる
①指3本を縦にした状態で口に入れることができない
②指を入れることができるが、痛みを伴う
耳の穴から1cm程前あたりに人差し指と中指の2本を揃え、口を開閉する
③ポキッ、ガリッという雑音を感じる
④口を開閉したときに触れる骨の出っ張り方が左右で違う
⑤口を開閉したときに触れる骨の出っ張りがほとんど動かない
起床時
⑥顎の開閉に違和感があったり、痛みを伴う
食事中
⑦硬いものや何度も咀嚼を要する食事のときに、顎の痛みや違和感を伴う
①〜⑦のうち、どれか1つでも当てはまる症状がある場合は、顎関節症の疑いがあります。
⑥の起床時のみに顎の痛みや違和感を感じる場合、無意識のうちに歯ぎしりやくいしばりをしている可能性があります。歯ぎしりやくいしばりはご自身で気づくことができないため、周囲のご家族からの指摘で気付かれる方が多いです。ですが中には「ギリギリ」音を立てずに食いしばっている方もいらっしゃるので、起床時の顎の痛みや歯の痛みを感じたら、一度ナイトガードを作ることをお勧めします。
⑦の食事中に顎の痛みや違和感を感じる場合、その食事1回限りの症状なのか、常時食事のたびに感じているのかで治療の有無が変わってきます。1度限りのことであれば、咬筋の筋肉痛だと考えられるため、顎を休めるだけで症状が改善されます。ですが、食事のたびに痛みを伴っている方は、顎関節症の診察を受け、治療されることをお勧めします。
まとめ
いかがでしたか?最後に「 顎関節症が原因で頭痛になる?」についてまとめます。
・こめかみ部分にある側頭筋の筋肉異常で頭痛だと感じることもある
・噛み合わせがずれている状態だと体のバランスも崩れ、血行不良になり、頭痛を伴うこともある