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ジルコニア治療後の痛みや違和感:原因と歯科医院での対応

2026年01月20日

ジルコニアは、その高い強度、耐久性、そして自然な審美性から、歯科治療、特に被せ物やブリッジの素材として広く利用されています。金属アレルギーの心配が少ないことも大きな利点です。しかし、どれほど優れた治療法であっても、治療後に「痛み」や「違和感」が生じるケースはあります。

この記事では、ジルコニア治療後に感じる可能性のある痛みや違和感の主な原因を解説します。

ジルコニア治療後の痛み・違和感の主な原因

ジルコニアの被せ物を装着した後に生じる不快な症状は、「歯の神経(歯髄)に関連する原因」と「被せ物と噛み合わせに関連する原因」、「その他の原因」の3つが考えられます。

1. 歯の神経(歯髄)に関連する原因

歯の神経(歯髄)は、歯の中央に位置し、削合時の熱や振動などの刺激に非常に敏感です。ジルコニアの被せ物を取り付けるために歯を削ると、その刺激によって神経が一時的に炎症を起こしたり、もともと深かったむし歯が神経に近くなったりすることで、痛みやしみる症状が生じます。

また、以前に神経を抜いた歯でも、根の先に細菌が再感染することで、痛みが再発することがあります。

削合時の刺激による一過性の炎症(可逆性歯髄炎)

被せ物を作成するためには、歯の表面を削る(削合)必要があります。このとき、ドリルの摩擦熱や振動といった物理的な刺激が、歯の内部にある神経(歯髄)に伝わり、一時的な炎症(歯髄炎)を起こすことがあります。

  • 症状: 冷たいものがしみる、噛むと一瞬ズキッとする。
  • 特徴: 症状は軽度で、治療から数日~数週間で自然に落ち着くことがほとんどです。

象牙質の露出や深部に及ぶむし歯(不可逆性歯髄炎)

削合が深部にまで及んだ場合や、もともと深くまで進行していたむし歯を削った場合、象牙質の透過性が高くなり、刺激が神経に伝わりやすくなります。神経の炎症が重度の場合(不可逆性歯髄炎)は、自然には治癒しません。

  • 症状: 何もしなくてもズキズキと痛む、夜間に痛みが強くなる、温かいものがしみる。
  • 特徴: 症状が持続的かつ強い場合、神経を抜く根管治療が必要になる可能性があります。

根管治療後の痛み(根尖性歯周炎の再発・急性化)

すでに神経を抜いた歯(失活歯)にジルコニアの被せ物を装着した場合でも、過去の根管治療が不十分だったり、治療中に細菌が侵入したりすることで、歯の根の先に炎症(根尖性歯周炎)が再発・急性化することがあります。

  • 症状: 噛むと響くように痛む、歯ぐきが腫れる、歯ぐきを押すと痛む。

2.被せ物と噛み合わせに関連する原因

噛み合わせのわずかな不適合

ジルコニアの被せ物は非常に硬く、天然歯のように自然にすり減ることがありません。そのため、装着直後に「少し高い(当たりが強い)」と感じる程度のわずかな噛み合わせのズレでも、その部分に過度な力が集中し、痛みや違和感の原因となることがあります。

  • 症状: 特定の場所で強く当たる感じ、その歯の周りの歯ぐきや顎関節の痛み、違和感。
  • 対応: 歯科医療機関で「咬合調整(こうごうちょうせい)」と呼ばれる、被せ物の表面を少しずつ削って噛み合わせを微調整する処置が必要です。

歯と被せ物の間に生じる段差や隙間

ジルコニアを歯に装着する際に使用するセメントが流れ出しきれなかったり、精密な型取りができていなかったりすると、歯と被せ物の間にわずかな段差や隙間が生じることがあります。

  • 症状: 舌で触るとざらつく、食べ物が引っかかる感じ。
  • リスク: 隙間から細菌が侵入し、二次むし歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。

3. その他の原因

歯周組織への影響

被せ物の縁が歯ぐきの下に深く入りすぎている場合や、形が不適切な場合、歯周組織を圧迫・刺激し、炎症(歯肉炎)を引き起こすことがあります。

  • 症状: 歯ぐきの腫れや出血、違和感。

接着剤による一時的な刺激

被せ物を歯に強力に接着するための歯科用セメント(接着剤)が、歯ぐきや象牙質を一時的に刺激し、痛みを生じさせることがあります。これは多くの場合、数日で解消します。

歯科医療機関での対応と検査の流れ

ジルコニア治療後に痛みや違和感が生じた場合、歯科医療機関は以下のような手順で原因を特定し、適切な処置を行います。

1. 問診と視診

症状がいつから、どのような時に、どの程度生じるのかを詳しく伺います(問診)。次に、被せ物周辺の歯ぐきの状態や、被せ物と歯の境目に問題がないかを確認します(視診)。

2. 検査

噛み合わせのチェック(咬合検査)

  • 目的: 被せ物の当たりが強すぎないか、特定の場所に力が集中していないかを調べます。
  • 方法: 咬合紙(こうごうし)という色のついた紙を噛んでもらい、色のつき方で力の分布を確認します。

温度診・打診

  • 目的: 歯の神経(歯髄)の生死や炎症の程度を調べます。
  • 方法: 冷たい刺激(温度診)を与えてしみるかどうか、器具で軽く叩いて痛みの有無(打診)を確認します。

X線(レントゲン)撮影

  • 目的: 肉眼では見えない歯の根の先(根尖)や、被せ物の下のむし歯、骨の状態を確認します。
  • 知っておくこと: X線写真により、根管治療が必要な炎症(根尖性歯周炎)の有無や、被せ物と歯の間に隙間がないかなどを判断します。

3. 実際の処置

原因 歯科医院での対応
一過性の炎症 経過観察(自然治癒を待つ)。知覚過敏抑制剤の塗布。
噛み合わせの不適合 咬合調整(被せ物の高さを丁寧に削り、力のバランスを整える)。
不可逆性歯髄炎 根管治療(被せ物を外し、歯の神経を抜く治療)。
根尖性歯周炎 再根管治療(被せ物を外し、過去の根管治療をやり直す)。
被せ物の不適合 場合によっては被せ物の再製作(精密な型取りからやり直す)。

症状が続く場合の対処法:我慢せずに相談を

ジルコニアの被せ物は耐久性に優れ、長持ちすることが期待される治療法です。痛みや違和感の多くは、治療直後に起こる一時的なものや、簡単な調整で改善するものですが、症状が続く場合や悪化する場合は、自己判断せずに速やかに治療を受けた歯科医療機関に相談することが重要です。

特に、何もしなくても激しく痛む場合や歯ぐきが腫れてきた場合は、歯の神経や根の先に問題が生じている可能性が高いため、適切な診断と処置を受ける必要があります。

まとめ

ジルコニア治療後の痛みや違和感は、歯の神経の一時的な刺激や噛み合わせの不適合が原因であることが多いです。歯科医院では、問診、X線撮影、咬合検査などにより原因を特定し、咬合調整や根管治療などの適切な対応を行います。

患者様ご自身で判断せず、不安な点や気になる症状があれば、まずは歯科医院に相談し、精密な検査を受けることが、被せ物を長持ちさせ、口腔内の健康を維持する最善の方法でしょう。