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ジルコニアの歯はどの部位に適している?素材の特徴と部位ごとのポイントを解説
2025年09月20日
ジルコニアの歯とは?
「ジルコニアの歯」とは、歯の修復や補綴に使用される酸化ジルコニウムを主成分とするセラミック素材のことです。
特徴としては:
・非常に高い強度と耐久性
・金属を含まないため、アレルギーのリスクが少ない
・白く自然な見た目
これらの特性から、近年では「ジルコニアクラウン」「ジルコニアブリッジ」「ジルコニアインレー」など、さまざまな治療に利用されています。
しかし、ジルコニアと一口に言っても「どの部位に適しているのか?」は患者さんの関心が高いポイントです。以下で詳しく見ていきましょう。
ジルコニアの歯が適している部位
1)奥歯(大臼歯・小臼歯)
ジルコニアは強度が非常に高いため、噛む力が強くかかる奥歯に適しています。
メリット
・金属に匹敵する耐久性
・食いしばり・歯ぎしりのある方でも破損リスクが少ない
注意点
奥歯は審美性よりも強度重視されるため、ジルコニアの特性が最大限に活かせる
2)前歯(中切歯・側切歯・犬歯)
前歯は「見た目の自然さ」が求められる部位です。
従来のジルコニアは強度に優れる一方でやや不透明でしたが、近年では「高透過性ジルコニア(ハイトランスルーセントジルコニア)」が登場し、自然な透明感を再現できるようになっています。
メリット
・白く美しい仕上がり
・金属アレルギーの心配が少ない
注意点
強度と審美性のバランスを考え、ジルコニアの種類を選ぶ必要がある
3)ブリッジ(歯を失った部分の補綴)
ジルコニアは連結したブリッジにも使われます。
メリット
・高い強度があるため、複数の歯を連結しても安定性が高い
・金属を使わずに自然な見た目を実現可能
注意点
欠損部位の本数や噛み合わせによっては適応が限定される
4)インプラント上部構造
インプラントの上に装着する人工歯としてもジルコニアは使われます。
メリット
・噛む力に強く、長期的な使用に適する
・アバットメント部分をジルコニアにすることで歯ぐきから透けにくい
注意点
強度が高い分、噛み合わせの調整が重要
5)部分的な詰め物(インレー・アンレー)
奥歯の一部を修復する場合にもジルコニアが使われます。
メリット
・強度が高く、金属アレルギーの心配がない
・白く目立ちにくい
注意点
硬すぎるため、噛み合わせや対合歯(かみ合う歯)に負担をかけることがある
部位ごとにジルコニアの適性一覧表
部位 | 適性 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
奥歯(大臼歯・小臼歯) | ◎ | 強度が高く破損に強い | 審美性はやや劣る |
前歯(中切歯・犬歯など) | ○ | 白く自然な見た目 | 種類の選択が重要 |
ブリッジ | ◎ | 強度があり連結でも安定 | 欠損数により制限あり |
インプラント上部構造 | ◎ | 噛む力に強く自然 | 調整が必要 |
詰め物(インレー等) | ○ | 金属不使用・自然な色調 | 硬さによる影響に注意 |
ジルコニアを選ぶ際の注意点
ジルコニアは万能ではありません。治療前には以下の点を確認しましょう。
・歯ぎしりや食いしばりが強い場合 → ナイトガードの使用が勧められることがある
・対合歯(かみ合う歯)への負担 → 強度が高いため、相手の歯に影響が出ることもある
・治療部位の条件 → 欠損歯の本数や噛み合わせによってはジルコニアが適応外となることもある
ジルコニアのメンテナンス
ジルコニアは非常に硬く、耐久性に優れた素材です。しかし「強いから放っておいても大丈夫」というわけではありません。天然歯と同じように、適切なメンテナンスを行うことで寿命を延ばし、快適に使い続けることができます。ここでは、ジルコニアの歯を長持ちさせるための具体的なケア方法を紹介します。
日常のセルフケア
ジルコニア自体は変色や虫歯になりにくい素材ですが、歯とジルコニアの境目にはプラーク(歯垢)が溜まりやすく、そこから虫歯や歯周病が進行する可能性があります。
歯ブラシ
毎日のブラッシングで、補綴物の周囲を丁寧に磨くことが大切です。硬すぎる歯ブラシよりも、やや柔らかめを選ぶと歯ぐきを傷めにくくなります。
デンタルフロス・歯間ブラシ
ブリッジや連結されたジルコニアは、歯間部に汚れが残りやすいので、フロスや専用のスレッドフロスを使うと効果的です。
マウスウォッシュ
仕上げに抗菌作用のある洗口液を利用することで、口腔内を清潔に保てます。
定期的な歯科検診
ジルコニアは摩耗や破損に強いとはいえ、噛み合わせや生活習慣の影響でトラブルが生じることがあります。半年に1回程度の定期検診が推奨されます。
・噛み合わせチェック
・歯周ポケットの測定
・クリーニングでのプラーク・歯石除去
特に歯ぎしりが強い方は、ジルコニア自体は割れなくても対合歯(かみ合う歯)がすり減る可能性があるため、定期的な調整が大切です。
ナイトガード(マウスピース)の活用
食いしばりや歯ぎしりが強い方は、夜間にナイトガードを装着することで、ジルコニアの破損や天然歯の摩耗を防げます。特に奥歯にジルコニアを入れている場合には有効です。
食生活で気をつけること
ジルコニアは硬さが特徴ですが、極端に硬い食品を日常的に噛むとリスクが高まります。
・避けたいものの例:氷、乾燥した硬いナッツ、飴を噛み砕く行為など
・望ましい習慣:左右の歯でバランスよく噛む、片側に偏らないようにする
無理に硬いものを噛み続けると、ジルコニア自体は無事でも、歯根や周囲の組織に負担がかかることがあります。
まとめ
「ジルコニアの歯はどの部位に適しているか?」という疑問に対する答えは:
・奥歯やブリッジ、インプラントには特に適している
・前歯にも使えるが、種類の選択が重要
・詰め物としても利用できるが、噛み合わせに配慮が必要
ジルコニアは強度と審美性を両立できる素材ですが、部位や用途に応じて種類を選ぶことが大切です。
実際にどの部位で使えるかは、口腔内の状態や噛み合わせによっても変わるため、必ず歯科医院で相談するようにしましょう。