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健康保険適用のセラミックについて教えてください
2021年02月15日
西荻窪の善福寺歯科クリニックです。
今回は「健康保険適用のセラミック」についてお話しします。
セラミックは審美性の高さがメリットである一方、費用が高いというデメリットがあります。
自由診療であるセラミックは、保険診療である銀歯などに比べて費用が高く、
そのため予算を理由に仕方なく銀歯を選択した人もいるでしょう。
しかし、保険診療のセラミックが存在することをご存知でしょうか。
健康保険の改定
元々セラミックは自由診療でしたが、2014年の健康保険改定により健康保険が適用されるようになりました。
ただし、無条件ではなく以下の基準が定められています。
基準1. 厚生労働省に施設基準の届け出を行い、認可された歯科医院である
基準2. 歯科補綴治療に関する専門知識、及び3年以上の経験を持つ歯科医師が在籍している
基準3. 厚生労働省の定める歯科用CAD/CAM装置で製作する
基準4. 製作する歯科医技工所との連携がとれている
基準5. 被せ物のハイブリッドセラミックに限られる
基準6. 治療対象となる歯の箇所が限られる
これらの基準をまとめると、健康保険適用のセラミックには次のことがいえます。
詰め物ではなく被せ物に限定される
セラミックの種類はハイブリッドセラミックに限られる
基準に該当する歯科医院で治療を受けなければならない
歯の箇所によっては健康保険適用外になる
ハイブリッドセラミックとは
健康保険適用で使用されるハイブリッドセラミックとはセラミックの一種であり、
自由診療においてもハイブリッドセラミックを選択することが可能です。
ハイブリッドセラミックは、レジンにセラミックの微粒子を練り込んだものであり、
素材としてはレジンとセラミックの中間にあたります。
審美性が高いものの、レジンが混ざっているため年数経過による変色も起こり、
セラミックの中では比較的費用が安く、お手軽なセラミックとして位置づけられています。
ちなみに、自由診療のハイブリッドセラミックと保険診療のハイブリッドセラミックはイコールではなく、
後者は前者に比べて審美性・耐久性が低くなっており、保険診療専用のハイブリッドセラミックを使用しています。
セラミックにするメリット
セラミックはあくまで選択肢の一つであり、もちろん銀歯やレジンを希望することも可能です。
そこで、セラミックにすることへのメリットを説明します。
審美性が高い
セラミックにすることによる最大のメリットが審美性の高さです。
銀歯の詰め物・被せ物は非常に目立つため、人前で口をあけることに抵抗を感じる人も多いでしょう。
その点、セラミックなら天然の歯と見分けがつかないほど美しく、見た目を気にする必要がありません。
虫歯の再発を予防しやすくなる
セラミックはプラークが付着しにくく、これは表面がツルツルしているのが理由です。
そのため、銀歯に比べてセラミックは虫歯の再発を予防しやすいのですが、
今回解説したハイブリッドセラミックの場合、他のセラミックに比べてプラークは付着しやすくなります。
金属を使用していない(メタルボンドは除く)
金属アレルギーの人にとっては、金属が素材になっている銀歯を使用することができません。
一方、セラミックは陶器が素材になっているため、金属アレルギーでも安心して使用できます。
ただし、セラミックの一種であるメタルボンドは金属を使用しているので注意が必要です。
長持ちしやすい
人工物は永久に使用することはできず、その点はセラミックも例外ではありません。
しかし、素材としての寿命の長さは保険診療の銀歯やレジンに比べて長く、
セラミックの種類やケア次第では10年以上使用することも可能です。
セラミックにするデメリット
セラミックには、メリットがある一方でデメリットもあります。
もっとも、方法次第でデメリットをある程度解消できるため、その点もあわせて説明します。
費用が高い
自由診療であるセラミックは費用が高く、特に最も美しいとされるオールセラミックは非常に高額です。
ただし、「医療費控除を利用する」「健康保険適用のハイブリッドセラミックを選択する」など、
セラミックの種類にこだわりがなければ、ある程度費用を抑えることが可能です。
事故によって割れることがある
セラミックは陶器であり、単純な強度だけで比較すれば金属である銀歯に劣ります。
そのため、あまり強い力で噛むと割れてしまうことがありますが、
メタルボンド・ジルコニアセラミックなど、強度に優れたタイプのセラミックも存在します。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、健康保険適用のセラミックについてまとめます。
1. 健康保険の改定 :2014年の健康保険改定により、セラミックにも健康保険が適用されるようになった
2. ハイブリッドセラミックとは :レジンにセラミックの微粒子を練り込んだタイプ
3. セラミックにするメリット :審美性が高い、二次虫歯を予防しやすくなる、長持ちしやすいなど
4. セラミックにするデメリット :費用が高い、事故によって割れることがある
これら4つのことから、健康保険適用のセラミックについて分かります。
健康保険適用のセラミックはハイブリッドセラミックに限られており、
また自由診療のハイブリッドセラミックとは異なるものになります。
さらに、保険適用にあたってさまざまな基準が定められているため、
保険診療のセラミック治療を希望する人は、一度歯科医院に行って相談してみるといいでしょう。