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噛み合わせが悪い人が虫歯になりやすいのはなぜですか?
2020年10月25日
西荻窪の善福寺歯科クリニックです。
今回は「嚙み合わせと虫歯の関係」についてお話しします。
いくら予防してもすぐ虫歯になる人には、2つのことが考えられます。
1つ目に予防が不充分な可能性です。例えばせっかくの歯磨きも磨き残しが多ければ効果は低く、
例え毎食後に歯磨きしても虫歯になってしまうでしょう。
2つ目に虫歯になりやすい要素を持っているという可能性。例えば噛み合わせが悪い人は虫歯になりやすいのです。
正しい噛み合わせ
明らかに歯並びが悪ければ噛み合わせの悪さを自覚できますが、
一見歯並びが良くても噛み合わせが悪いケースもあり、正しい噛み合わせとは次の状態を示します。
・上下の前歯の中心が一致している
・上の歯が下の歯より約2ミリ外側に並んでいる
・噛み合わせた時の深さが約2ミリ
・自然な状態にした時に口を閉じられ、鼻呼吸ができる
・歯並びが正常
正常な噛み合わせとは、これら全てを満たした状態です。
もっとも、言葉ではイメージしづらいですし噛み合わせの状態は自己診断しづらいため、
歯科医院に行って自分の噛み合わせを診断してもらうのが確実です。
噛み合わせが悪いと虫歯になりやすい理由
噛み合わせの悪さと虫歯へのなりやすさは深く関係しています。
そこで、噛み合わせが悪いと虫歯になりやすい理由をまとめてみます。
歯磨きの精度が落ちる
歯並びが悪い場合、歯磨きしても歯が磨きづらく、歯並びの状態次第では歯ブラシの届かない箇所もあるでしょう。
歯磨きの精度が落ちてしまえば磨き残しも増えるため、その分だけ虫歯になるリスクが高まります。
唾液の量が不充分で細菌が流れない
口の中の細菌は唾液によって流されていきますが、噛み合わせが悪いとその作用が不充分になります。
これは噛み合わせが悪いことで口呼吸になるためで、乾燥した空気が口に入って唾液が蒸発してしまうからです。
プラークが自然に剥がれない
歯に付着したプラークは、噛み合わせた時の衝撃で自然に剥がれることがあります。
しかし、噛み合わせが悪いと歯と歯が当たらないことがあり、プラークが歯に付着したままになってしまいます。
エナメル質が傷つく
噛み合わせが悪いと過剰に噛み合う歯が存在する可能性があり、そうなると歯の表面のエナメル質を傷つけます。
エナメル質が傷つくことで象牙質が保護されなくなり、細菌に感染しやすい状態になってしまいます。
嚙み合わせの悪さがもたらす問題
嚙み合わせが悪い場合、虫歯になりやすいだけでなく他にも様々な問題を引き起こします。
例えば、次の症状はいずれも嚙み合わせの悪さが原因となって起こるものです。
肩こり・頭痛
噛む動作を行う際には広頸筋・側頭筋といった筋肉を使用しますが、噛み合わせが悪いとこれらの筋肉が悪い影響を受けます。首から肩につながる広頸筋が影響を受けることで肩こり、顎関節から頭の横につながる側頭筋が影響を受けることで頭痛が起こります。
顎関節症
顎関節症は、例え噛み合わせが正常でも発症する病気ですし、噛み合わせが正常な人が顎関節症になることで噛み合わせが悪くなるケースもあります。
しかし、噛み合わせが悪い人の場合は発症のリスクが高く、さらに重症化しやすい傾向があります。
歯周病
噛み合わせが悪いと、噛み合わせた時に特定の歯に負担がかかることがあり、
その場合は歯だけでなく歯の下にある歯肉にも負担をかけることになります。
歯肉に負担がかかることで歯肉炎が起こり、治療しなければ本格的な歯周病へと進行していきます。
噛み合わせが悪くなる原因は意外
噛み合わせが悪くなる原因には先天的な要素も含まれますが、
全く別のことが原因のケースもあり、さらにその原因はいずれも意外なものになります。
人工物
人工物とは、詰め物・被せ物・入れ歯・インプラントなどが該当します。
これらで処置する際、高さが合っていないことで噛み合わせが悪くなります。
現状では高さが合っていても使用する中で合わなくなってくるため、定期的な調整が必要です。
日常の癖
頬杖、うつ伏せで寝る、歯ぎしり、食いしばりなどの癖によって噛み合わせは悪くなります。
また、小さな子供においては指しゃぶりも同様であり、
歯・顎に負担のかかる癖は噛み合わせが悪くなる原因になるとイメージしてください。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、噛み合わせと虫歯の関係についてまとめます。
1. 正しい噛み合わせ :上下の前歯の中心が一致している、上の歯が下の歯より約2ミリ外側に並んでいるなど
2. 噛み合わせが悪いと虫歯になりやすい理由 :歯磨きの精度が落ちる、唾液の量が不充分で細菌が流れないなど
3. 噛み合わせの悪さがもたらす問題 :肩こり・頭痛、顎関節症、歯周病
4. 噛み合わせが悪くなる原因は意外 :人工物、日常の癖
これら4つのことから、噛み合わせと虫歯の関係について分かります。
病気に対してしか治療しない考えの人なら、噛み合わせの悪さは治療対象にならないでしょう。
なぜなら、噛み合わせの悪さは病気ではないからです。
しかし、噛み合わせの悪さが病気の原因になることもあり、そのため噛み合わせの悪さは軽視できない問題です。