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入れ歯で噛み合わせが合わなくなるのは仕方ないですか?

2020年09月25日

西荻窪の善福寺歯科クリニックです。
今回は「人工物と噛み合わせ」についてお話しします。
誰もが自分の歯を守りたいと考えるでしょうが、入れ歯の人は既に歯を失っています。

入れ歯の歯は人工物…だからこそ、歯を守ろうとする意識が低下しがちであり、
どのみち人工物なら天然の歯ほどのケアは必要ないと考えてしまう人も少なくありません。
しかしその考えは間違いで、例えば噛み合わせの悪さも放置してはいけない問題です。

正しい噛み合わせとは

そもそも、正しい噛み合わせとはどのような状態を示すのでしょうか。
ちなみに、「問題なく噛める=正常な噛み合わせ」というわけではありません。
正常な噛み合わせとは、歯を食いしばった時に上下の歯が接触していることが前提となります。

ただ、上下の歯の接触が確認できても奥歯の接触が均等でなければ正常とは言えず、
さらに上下の歯の中心が明らかにズレている場合も噛み合わせが正常とは言えません。
また、歯を食いしばると痛みや違和感がある場合や上下の歯が接触していない場合も同様です。

さて、これらのポイントをまとめてみると次のようになります。

●上下の奥歯が均等に接触していない
●上下の歯の中心がズレている
●歯を食いしばると痛みや違和感がある
●食いしばった時に上下の歯の中で接触しない歯がある」の4つです。

これら4つのうち1つでも該当することがあった場合、正常な噛み合わせではないのです。

噛み合わせの悪さによって起こる問題

入れ歯は人工物ですから、虫歯などになることはありません。
ですから、噛み合わせの悪さを自覚しつつも気にしない人が少なくないですが、
噛み合わせの悪さによって起こる問題は多く、それは人工物であっても同じことが言えるのです。

歯周病になる

入れ歯は人工物でも、入れ歯を装着する歯肉は天然のものであり、
噛み合わせの悪さは歯肉に悪い影響をもたらします。
噛み合わせの悪さが歯肉に負担をかけて炎症を起こさせ、本格的な歯周病への進行してしまいます。

肩こりや頭痛が起こる

噛む動作を行う時には広頸筋や側頭筋などの筋肉を使用します。
広頸筋は首から肩、側頭筋は顎関節から頭の横にかけてつながる筋肉であり、
噛み合わせの悪さによってこれらの筋肉が悪い影響を受け、肩こりや頭痛を引き起こしてしまいます。

顎関節症が起こり、なおかつ重症化しやすくなる

詰め物が取れてしまうと、虫歯の治療をした患部が露出します。
患部は歯を削ってあるためエナメル質で覆われておらず、虫歯の再発を引き起こしてしまうでしょう。
また、詰め物が失われたことで噛み合わせも悪くなってしまうのです。

噛み合わせが悪くなることで起こる問題

顎関節症は噛み合わせが正常な人でも発症するリスクはありますが、
噛み合わせが悪い人の場合はそのリスクがより高く、これは顎関節に負担をかけているのが理由です。
さらに、噛み合わせが悪い人が顎関節症になると重症化しやすい傾向があります。

入れ歯は噛み合わせが悪くなりやすい

そもそも、入れ歯は噛み合わせが悪くなりやすいことを覚えておきましょう。
噛み合わせた時の力は想像以上に強く、噛む力が最も強い奥歯ではおよそ60キロもの力がかかります。
仮に奥歯が入れ歯だった場合、その入れ歯に60キロの力がかかることになるのです。

天然の歯においてもそれは同じことですが、ただ人工物である入れ歯は擦り減りやすく、
例え調整が万全だったとしても少しずつ沈み込んでいってしまうでしょう。
そうなると噛み合わせが悪くなってしまい、この現象は防ぐことができません。

噛み合わせが悪くなることが避けられない以上、入れ歯を使用している人は健診が必要であり、
定期的な健診でその都度噛み合わせの状態を医師に確認してもらい、入れ歯を調整してもらいましょう。
また、安定性を考えるのであれば治療内容は全く異なりますが、インプラントにする選択肢もあります。

噛み合わせの状態を確認する

噛み合わせの状態については自己診断する方法もありますが、
確実なのは歯科医院に行って医師に診断してもらうことです。
例え天然の歯であっても、噛み合わせはささいな原因で悪くなってしまいます。

例えば、日頃から歯ぎしりの癖がある人は歯が擦り減って噛み合わせが悪くなりますし、
歯並びが悪い人の場合はそれが原因で噛み合わせも正常ではありません。
ですから、自分の噛み合わせがどのような状態なのかを一度歯科医院で診てもらうと良いですね。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、人工物と噛み合わせについてまとめます。

1.正しい噛み合わせとは:歯を食いしばった時に上下の歯が接触していることが前提
2.噛み合わせの悪さによって起こる問題:歯周病になる、肩こりや頭痛が起こるなど
3.入れ歯は噛み合わせが悪くなりやすい:プラスチックの人工歯のため擦り減りやすい
4.噛み合わせの状態を確認する:歯科医院で医師に診断してもらうのが確実

これら4つのことから、人工物と噛み合わせについて分かります。
入れ歯は人工の歯ですから、天然の歯ほどケアは必要ないと思うかもしれません。
しかし、噛み合わせにおいては天然の歯同様に注意すべきであり、
噛み合わせの悪さは歯だけでなく口の中全体、さらには全身に悪い影響をもたらしてしまうのです。